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お酒が今にもできあがろうとしています。いちばん大切な時になりました。 ちょうどその時、たったひとりの叔母が病気で寝こんでいるという話が聞こえてきました。 「おばさん、しっかりしてくださいな。もうわたしにとって大切な人はおばさんひとりなんですからね」 お里が叔母の手をとってしみじみいいますと、叔母はいっそう泣きました。 「そんなやさしいことをいってくれて、罰があたる。わたしは、おまえがみなしごになった時、ひきとりもしないで、捨てておいたのに、こんな薄情者をうらみもしないで、はるばる見舞いにきてくれてありがとうよ」 そんな話をしているうちに、はげしい雨の音が、屋根を叩きはじめました。 見ると外は真っ暗になって豪雨が降りしきっています。雨はそれから三日三晩降りつづきました。川は水があふれ、川止めになってしまい、お里は家に帰れなくなってしまいました。お里は心の中でお酒のことが気になってたまりません。でもこの雨では家も瓶もみんな押し流されて、あとかたもなくなっているのではないでしょうか。お里が居つづけて看病したおかげで、叔母の病気はすっかりよくなりました。ようやく出水もひき、川止めもとかれました。 |