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駿河の国、香貫の村にお里という女の子が住んでいました。もともと家が貧しくて、お里は小さい時からずっとひもじい暮らしをしていました。それでも両親のいた時は、父や母が心のまっすぐなやさしい人だったので、お里も幸福でした。 「赤もがさだ、お里、そばへよるな」 父親は真っ赤な顔をして、お里にあっちへゆけと手をふります。お里は、自分をかわいがってくれる父親が苦しんでいるのを見て、かわってあげたいと思いました。 3日め、父親の看病をしていた母親が高熱をだしました。父親が悶え死に、2日おいて母親が死にました。母親は死ぬ前に、 「かわいそうに、みなしごになってどうやって暮らしていくだろうね。おまえにはまだなんの働きもできないだろう。」 母親はゆでたえびのように赤くなった顔に、涙をはらはらと流していました。 「お父さんが好きだったお酒をつくるのを、見よう見まねで覚えておいでかえ、忘れないうちにお酒をつくって、村人に売ればいいのだけれど・・・・・。それにしてももとでがないねえ」 そこまでいうと、母親は力つきたのか、がくっと首を落とし、こときれていました。 お里にも病気がうつりましたが、若いせいか、しばらく寝込んだ後にすっかり元気になりました。 たったひとりになったお里をかわいそうに思い、村人は子守をさせてくれたり、畠の草むしりに使ってくれたりして、どうにかその日をすごすことはできました。 |
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